素材特性

6.膨張黒鉛シート(グラファイトシート)の特徴

膨張黒鉛シートは、耐熱性のあるシール材として使われております。
また、膨張黒鉛シートは、自動車のエンジンのシリンダーとヘッドの間のシール部分のガスケットとして使われております。

膨張黒鉛とは?

黒鉛は、平面六角型をした炭素原子の結合したシート(グラフェン)が積層されてできております。
炭素原子の分子結合をしているグラフェンとグラフェンの間に、イオンや他の分子などが挿入されることで「黒鉛層間化合物」を作ることが知られています。黒鉛層間化合物を急熱するとグラフェンの間に入れられた物質が燃焼・ガス化します。そのガスによりグラフェンとグラフェンの積層間が押し広げられ、元の体積の数十倍にも膨張します。その為、こうしてできた黒鉛を「膨張黒鉛」といいます。

膨張黒鉛シートの製造方法と特性

膨張黒鉛をプレスすることにより、
膨張黒鉛シート(=グラファイトシート=可撓性(かとうせい)黒鉛シート)が作られます。
膨張黒鉛シート(グラファイトシート)特性としては、

  • 非常に柔らかくカッターナイフやハサミで切れます。
  • 可撓性「=物体が柔軟である性質のこと」に優れており、使いたい形状にあわせて使用できます。
  • 圧縮強度や弾力性に優れ、クッション材やスペーサーなどとして使われます。
  • 耐熱性に優れ、真空中や不活性雰囲気では約3000度までもちます。大気中では、カーボンと同様に膨張黒鉛シートも約500度で酸化がはじまります。
    -240℃の極低温から3000℃までの広い温度域で使用できます。
  • 輻射熱遮蔽性(ふくしゃねっしゃヘいせい)がよく、1,000度を超える高温域でも有効な断熱材として使用できます。
  • 不浸透性をもち、液体やガスの透過性がなくクリープ(伸び)が発生しない為、シール性に優れています。
  • 耐薬品性・耐食性に優れており、有機溶剤や濃アルカリには侵されません。しかし、酸化性の強い下記の流体や使用温度によっては侵されるため注意が必要です。
酸化性酸:硝酸・濃硫酸・クロム酸溶液・混酸など
酸化性塩:塩素酸塩・次亜塩素酸塩など
といった、特性が有ります。

膨張黒鉛シートの主な使用用途

膨張黒鉛シートの主な使用用途としては、柔軟性・耐薬品性に優れ、密着性に富み、高温にも耐えるので、ガスケット、パッキン、クッション・スペーサーなどのシール材や、カーボンヒーターの接続部のワッシャなどに使用されます。
また、電子部品の放熱や耐熱シールド、電磁波防止シールドなどとして使われております。
更に、アスベスト(石綿)代替材になりうるとして、様々な場所で検証されています。
弊社では、SUS貼付けをした圧縮強度・耐圧を上げたタイプや、ギャザー加工を施して粘着性を持たせた、取付作業性に優れる膨張黒鉛シートにも対応しております。
「黒鉛ソリッド材」「グラファイトシート」以外にも、「ポーラスカーボン」や、「グラッシーカーボン」ほか、様々な物を取扱いしております。

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