溶射処理入門編

1.溶射とは?溶射の特徴や利点などの紹介

カーボンを使用する用途や機械設備は、過酷な環境や条件にさらされることが多くあります。カーボンは空気中の酸素と反応して酸化が進み交換の必要が発生します。「溶射」はカーボン製品の酸化を防ぎ長寿命化をはかれる表面改質技術となっております。
他にもカーボンは通電性がありますが、絶縁材の溶射により電気を通さなくしたり、カーボン製品から発生するカーボン粉の飛散防止や防塵対策も出来ます。

溶射処理とは?

金属やセラミックス・サーメットなどを様々な熱源を用い溶融・軟化させた溶融粒子を基材(ワークへ噴射します。基材表面に吹き付けられた溶融粒子は瞬時に冷却されて固化し基材に被膜を形成します。この材料を噴きつけて機能性被膜を形成する表面改質技術を「溶射処理」といいます。

溶射処理の利点や特徴

  • 金属・セラミックス・プラスチック等、広範囲の基材に溶射加工ができます
  • 金属・合金・サーメット・セラミックス等、幅広い溶射材料の溶射が可能です
  • 溶射設備の種類によっては基材に熱影響を与えにくく、熱変形が殆ど発生せずに溶射処理が可能です
    (母材温度は最大でも200℃程度)
  • 被膜を必要とする範囲のみの溶射処理が可能です
  • 耐磨耗と同時に異なる付加価値(耐腐食・耐熱性等)も付与可能です
  • 溶射材料が豊富にある為、費用対効果に見合った数種類材料から提案が可能です
  • 橋脚や鉄橋などには現地にて溶射施工が可能です
  • 特別な精度が必要のない場合は基材の寸法に制限がありません

溶射処理の主な機能や目的

通常の溶射処理は防錆(ぼうせい)・防食に対する鉄鋼構造物などの基材保護及び、化学製品を製造機器・装置などで薬品に接する環境での薬剤の遮断や耐蝕性アップを目的とした溶射と、各工業分野の設備、装置などにおける耐摩耗、耐熱遮熱、電気絶縁、耐酸化などを目的としをております。
カーボン製品については主に酸化防止や浸炭防止用途、絶縁処理、パーティクルの防止となります。弊社では主に、超硬金属メーカー様に溶射処理を施した製品を納めさせて頂いております。

潤滑性の向上や、あらゆる摩耗の耐久性アップに

  • 別々の固体の表面同士が、接触して起こる凝着摩耗
  • 摩擦面の硬さの違いによる引っかきアブレシブ摩耗
  • 摩擦が繰り返されて起こる疲労摩耗
  • メカニカルシール・スリーブ・プランジャーのような、高速回転などにより生じる摺動摩耗などの耐久性アップに溶射処理は有効です。

耐熱、断熱性の向上に

  • 低熱伝導性の材料を表面処理する事により基材の温度が高くなる事を防ぐ耐熱効果を付与出来ます
  • 耐熱・耐腐食金属(サーメット等)を表面に被覆する事により寿命を大きく伸ばす高温腐食対策
  • 耐溶湯金属や各種セラミックを溶射して金属製品を保護するなどの表面保護対策

防食や防錆、薬品への耐性アップに

  • 屋外構造物の発錆による腐食など
  • ガスや燃焼灰などによる高温腐食など
  • 燃焼室などの高温酸化や高温腐食など

電気特性をもたせる用途に

  • 絶緑性のセラミック溶射による絶緑・電磁シールド処理など
  • 電磁調理器との接触面に鉄を溶射した電通性向上処理など

遠赤外線付与用途に

遠赤外線の発生のしやすい材料を溶射することにより遠赤外線効果を得られます。

非粘着目的に

接着性のある材料と触れる製品などの接着防止に

肉盛り(寸法復元)に

すり減った部分の寸法復元が可能です。

カーボン製品のご相談・御見積

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